演奏会シリーズ「モーツァルトに会いたい」について 
 
                                           河野 美砂子
 演奏会「モーツァルトに会いたい」は、2006年11月、京都芸術センターにて第1回目が開催されました。
 実は、それに先立ち、京都リビング新聞社主催の講演会(ミニ演奏付き)「モーツァルトに会いたい」が開かれ、講師として私は招かれたのですが、その講演会ではお話が主体であるため、ピアニストとしてどうしても演奏会を開きたい、という気持ちが切っ掛けの演奏会でした。
 
 一回きりの演奏会のつもりでしたが、演奏会継続を希望する声が多数寄せられ、シリーズ化されることが決まりました。人気の理由はいろいろ考えられますが、京都市の中心部に存在する、もと京都市立明倫小学校の歴史ある建物を修復した京都芸術センターの独特の雰囲気や、そこに伝わる約100年前のグランドピアノ・ペトロフの音色、それからもちろん、こよなくピュアなモーツァルトの音楽、そして200名の聴衆の方々の暖かな雰囲気などが相まってのことと思われます。
 第1回目のプログラムは以下の通りです。

    
 ■第1回

  
  『モーツァルトに会いたい ― ピアノ曲でたどるモーツァルトの生涯 ― 』 
                        演奏会のチラシ 
     2006年11月7日  京都芸術センター  講堂              Pf. 河野美砂子           ブログ「モーツァルト練習日記」(演奏会「モーツァルトに会いたい」)
                      同ブログ 「アマデウスへの手紙」
  ・メヌエットKV1a, KV2, KV3 (1761年〜62年/5歳〜6歳)
  ・ロンドン音楽帳からKV15hh, KV15ii他(8歳〜9歳)
  ・モルトアレグロKV72aト長調 (14歳)
  ・アダージォ(ヘ短調)―ソナタ KV280より (19歳)
  ・「私はランドール」による12の変奏曲 KV354 変ホ長調(22歳) 
  ・ソナタ KV310 イ短調(22歳) 
  ・ソナタ KV330 ハ長調(27歳) 
  ・ロンド KV485 ニ長調(30歳)  
  ・アダージォ KV540 ロ短調(32歳)  
  ・小ジーグ KV574 および メヌエット KV355(33歳) 
  ・アンダンテ(自動オルガンの為の)KV616ヘ長調(1791年/35歳)              
          「モーツァルトに会いたい」(06年)当日のプログラムノート


■第2回

 「モーツァルトに会いたい2・室内楽」は、2007年6月と7月に、2回にわたって開催されました。      演奏会「モーツァルトに会いたい2」のチラシ(オモテ) 
 大きなテーマは「室内楽」で、6月は「ピアノトリオ」、7月は「4手のピアノ曲」(連弾)という形でした。
 共演として、トリオでは、ヴァイオリン・岸邉百百雄、チェロ・河野文昭、ピアノ連弾では、小林道夫の各氏が来演してくださいました。
 岸邉百百雄、小林道夫両氏は、あらゆる意味での大先輩で、このお二人からあらためて学ぶことを期しての演奏会でした。     
      ブログ「モーツァルト練習日記」(「モーツァルトに会いたい2」)
                     同ブログ 「アマデウスへの手紙2」

 《モーツァルトに会いたい2・室内楽》 
            ・共演者のプロフィール  ・プログラムの詳細 
  
    ◆《ピアノトリオ》  2007年6月10日(日)午後2時  京都芸術センター 
    ・K.502 変ロ長調(1786年) 
    ・K.542 ホ長調 (1788年) 
    ・断章 K.442 アレグロ ニ短調(1783年?)
    ・K.548 ハ長調(1788年)               
        ヴァイオリン・岸邉百百雄 チェロ・河野文昭  ピアノ・河野美砂子
     
    ◆《4手のピアノ曲》  2007年7月
6日(金)午後7時 京都芸術センター
    ・ソナタK.381ニ長調(1773年〜4年)  
    ・アンダンテと5つの変奏曲K.501ト長調(1786年)
    ・フーガK.401ト短調(1773年?)  
    ・アレグロK.357ト長調(1786年)(2005年R.レヴィン補筆)レヴィン関連記事       ・自動オルガンのための幻想曲K.608ヘ短調(1791年)      ※↓
    ・ソナタK.497ヘ長調(1786年)
     ※たいていの場合、他人による補筆は、モーツァルトの偉大さをあらため
        て確認することになるのですが、レヴィン氏の補筆は本当に素晴らし
        いものでした。
                        ピアノ 小林道夫  + 河野美砂子 
     ・ゲストの小林道夫氏は、ザルツブルク国際財団モーツァルテウム記念
     メダルを授与される等、日本におけるモーツァルト演奏の第一人者です。


■第3回

 「モーツァルトに会いたい3・モーツァルトマニアック」は、2008年3月、詩人の谷川俊太郎さんをゲストに迎えての開催でした。  
      「モーツァルトに会いたい3」チラシ(オモテ)  チラシ(裏)    
       
 「モーツァルトに会いたい3・モーツァルトマニアック」 
    2008年3月10日  京都芸術センター                                               ピアノ・河野美砂子   朗読・谷川俊太郎
          ブログ「モーツァルト練習日記」(「モーツァルトに会いたい3」)
             同ブログ 「アマデウスへの手紙3」
      ■演奏曲目   モーツァルト作曲
           前奏曲(カプリッチォ)K.284a  ハ長調(1777年)
           ロンド K.511            イ短調(1787年)
           指の練習 K.626b/48      ハ長調(1788〜9年?)
           アレグロ(ソナタ楽章) K.312  ト短調(1790年) 
           ピアノソナタ K.533+494   ヘ長調(1786〜88年)  他

              
              「モーツァルトに会いたい3」当日プログラムノート 

 「モーツァルトに会いたい」シリーズ3回目は、モーツァルトの作品の中でも意外な面に光をあてました。いわゆる〈モーツァルトらしさ〉とは異なった曲や、演奏されることの少ない、けれど魅力に満ちたピアノソロ作品を中心としたプログラムです。はからずも、晩年の作品が多くなりました。

 谷川俊太郎さんは、その長年の詩作のなかで、詩集「モーツァルトを聞く人」(1995年)があることからもわかるように、モーツアルティアンとしても長いキャリアをお持ちです。(谷川さんとの交流は、こちらの京都新聞エッセイをお読みください。)
             
            
 もと京都市立明倫小学校の歴史ある空間と、そこに伝わる約100年前の楽器、ペトロフも、毎回のことながら話題になりました。地元、明倫学区の方たちが中心となっての寄付が集まり、ようやく修理開始が決まりました。これは修理前の最後の演奏会となります。(ペトロフに関しては、この京都新聞エッセイをお読み下さい。


■第4回


    モーツァルトに会いたい・4  〈ピアノ連弾で聞くオペラと交響曲〉
        ◇ピアノ・河野美砂子 小石みなみ 岡部佐恵子   
                チラシ(オモテ)    チラシ(ウラ
       
                     ↑共演者のプロフィール掲載
                       
    ■2008年11月24日(祝) 午後3時  
    ■京都芸術センター講堂 ブログ「モーツァルト練習日記」(「モツ会い4」)
    ■プログラム
      ・オペラ「魔笛」KV620(ツェムリンスキー編曲)より抜粋(1791年) 
                            ピアノ・小石みなみ+河野美砂子
      ・交響曲第41番「ジュピター」KV551全曲(1788年) 
                            ピアノ・岡部佐恵子+河野美砂子

     「モーツァルトに会いたい4」当日のプログラムノート

 シリーズ4回目は、ピアノ一台を2人で弾く「連弾」という形で、モーツァルトのオペラ、オーケストラの響きを楽しんで頂きました。若いピアニストである小石みなみさんと岡部佐恵子さんの共演です。

 まだラジオや再生装置が発明されていなかった19世紀のヨーロッパでは、家庭で音楽を楽しむために、ピアノの連弾によってオペラやオーケストラの作品がさかんに演奏されていました。
 その当時の楽譜を使用し、もと明倫小学校講堂のグランドピアノ・ペトロフを囲む形で、聴衆の皆さんとともにモーツァルトの音楽を楽しみました。


 モーツァルトは、自分自身を「オペラの作曲家」と自負していたことでもわかるように、生涯にわたって多くのオペラを作曲しました。その中でも「魔笛」は特に印象的な作品です。今回は、19世紀末ウィーンの音楽家として高名なツェムリンスキーの編曲楽譜を使用しました。

 また、交響曲「ジュピター」は言わずと知れた名曲。4手による演奏で思わぬ発見がありました。

 一方、もと明倫小学校の歴史ある空間と、そこに伝わる約100年前のピアノ・ペトロフについても話題になりました。。
 ペトロフは、明倫地区の方々の長年のご努力で修復に必要な金額が寄付金が集まり、今回が修繕後初の「モーツァルトに会いたい」演奏会となりました。「モーツァルトに会いたい1〜3」の計4回の演奏会でも、多くの皆様から、修復のための寄付金を頂戴しました。
 「モーツァルトに会いたい」シリーズの京都芸術センターにおける公演は、今回で最後となりました。


■第5回

s      
      モーツァルトに会いたい5・最終回 〈ピアノコンチェルト〉
                                      ローム ミュージック ファンデーション 助成公演
         
当日プログラム冊子(プログラムノート+全出演者プロフィール)
 
     
■ピアノ 河野美砂子 /コンサートミストレス 玉井菜採  /チェロ 河野文昭  他
      
                 (他のメンバーは下記参照)
    ■
プログラム ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 KV488    
    
          ピアノ協奏曲 第24番 ハ短調 KV491※ チラシ(オモテ)                                         チラシ(ウラ
    ■2009年3月20日(休)午後6時(5時半開場)
    ■京都府立府民ホール・アルティ   

 演奏会シリーズ「モーツァルトに会いたい」最終回は、名曲の宝庫であるピアノ協奏曲より選りすぐりの2曲を演奏しました(アンコールは第17番ト長調の最終楽章)。
 オーケストラは、室内楽の延長形として考え、指揮者なしの小編成。メンバーは、河野美砂子の長年の音楽仲間や、先輩後輩、教え子達を中心としたものとなりました。
 第24番は、モーツァルトの自作カデンツァが残っておらず、河野美砂子作による今回のみの特別ヴァージョンのカデンツァが披露されました。         
    
■ オーケストラメンバー                  
        コンサートミストレス・玉井菜採  チェロ・河野文昭

 vn  梅原ひまり(京都市芸大講師)    va 山本由美子(京都市芸大講師)
     塩見裕子(元京響)             中田美穂
     山本裕樹(同志社女子大准教授)    木田佳余 
     濱名まり絵               
     荒巻美沙子               vc 五味敬子
     上敷領藍子                     
     渡辺明日香                    cb 南出信一(神戸女学院大講師)

  fl   長山慶子(元センチュリー響首席)  tp  竹森健二(大阪音大講師)
  cl  小谷口直子(京響首席)             横田健徳
     松尾依子
  ob   大島弥州夫(いずみシンフォニエッタ)   hr  村上哲(大フィル首席)
     東口佐和子                     蒲生絢子
  fg   畦内雅人(大フィル首席)
     野村智恵                timp  山本毅(京都市芸大教授) 



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